友人宅に泊まる、上海&ホーチミンの旅。アジア熱再燃。

5月 2nd, 2012 | by | 思考, 旅行

5月
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友人を訪ねて、上海とホーチミンに4日ずつ滞在してきました。

というのは、2月までシリコンバレーに住み、独創的でスケーラブルなスタートアップビジネスやエコシステムに触れ続けていた反動で、より泥臭く身近なアジアビジネスの今を見たくなってしまったわけで・・・。

そんなとき、前職の同期から「ホーチミンでITオフショア開発の仕事を始めたので遊びに来なよ」という連絡をもらい、「行く行く!」といつもの軽いノリで。なんなら中学からの友人が1年前に移住した上海にも寄って行こう、と(笑)

今回の旅では短期間にも関わらず得るものがとても多く、それは現地で働いている友人にみっちりアテンドしてもらったおかげです。いやー、熱かった!!

 

まずは上海。

1年半ぶり4度目の上海だけど、毎回その進化に驚かされる街。

泊めてもらった友人K宅がこのマンション。

30階に住んでいるというので、さぞかしご立派なタワーマンションなのだろうと予想していたら、信じられないボロさで、目を疑うような細長さ(建築用語で塔上比)でそびえ建っている。

建築中の板状マンション(本来とても安定した構造)が根元からポッキリ倒壊しちゃうこの国で、こんな高層建築がこんなボロさで建っていることに不安や疑問の気持ちは、どうやら誰もないらしい・・・。震度2で倒壊しそうだ(偏見)

 

気を取り直して、街へ。

意外にも大きくて綺麗な公園が整備されている。平穏な日曜日の光景。

街には相変わらずもの凄い量の人が溢れている。

 

Kは自分の筋トレの師匠でもあるので、一緒にジムへ。(上海まで行ってなにやってんだ、という感じですが、いつものことです。)やっぱり規模がでかい。アメリカと同じく大陸的。

ジムの規模やクオリティ、フィットネスカルチャーの浸透ぶりにも驚いたけど、一番驚いたのはロッカールームでの光景。全裸の中国人が、全身をくまなくドライヤーで乾かしてる!タオルではなく、ドライヤーで全身を!(笑)それにしても、何度来てもカルチャーショックを与えてくれる国。

夜は夜で、日本から拠点を完全に中国に移して家具ビジネスをしているKの友人や、日本と中国を毎月行き来してアプリ進出をやってる方など、中国の可能性や難しさについて聞くことができた。簡単じゃないけど、すでにやってるってのがすごい。

 

次は、ホーチミン。

ここでも、友人Aのマンションに泊めてもらいました。

こっちも30階くらいだったけど、新しい建物で安心感あり(笑)

 

猛烈に暑い中、路上でマグロさばいてた。おいおい・・・。

 

もちろんITオフショア開発企業さんにもお邪魔しました。G社さんは半年前に初めてベトナム視察に来て、2ヶ月後に拠点設立。それから現地人エンジニアを雇いまくり、日本のスタッフも役員含めてどんどん移住し、すでに50人体制で開発しているとか。ものすごいスピード感。

ちなみにオフショア開発と言っても2パターンある。自社開発と受託。(もしくは両方やってるケースもある)現地エンジニアの給与は月500~700ドルくらいだそうで、受託型(外注)は月12~15万円/人程度という印象。自社でラボ型でやる場合は、10人以上くらい雇わないと、外注コストよりメリットは出ない感じだろうか。

そして、4年も前にベトナムで人材ビジネスを起業されているYさんともお会いさせていただいた。4年前はベトナムで起業することを気違いと言われたけど、今ではブーム。「普通に考えてやるべき」ことは大企業が資金力にもの言わせてやっちゃう。起業家ってのは「普通に考えてちょっと無理・・」ということをやる開拓者であるべき。と熱い話をいただき、起業家のあるべき姿を思い出しました。

さらに、ベトナムで不動産開発を検討している日本のデベロッパーの方々とも偶然お会いできたり、なんだかラッキーな出会いが多かった。すべてアテンド、セッティングしてくれた友人Aくんのおかげ。都市を見に行くときは、そこに住んでいる友人がいると、一人で回る数倍も濃い情報を得られる。ということを強く認識した。これからもこの「泊めてくれ」作戦を乱用していこう(笑)

 

アジアについて考えてみる

ぼくら20代世代は、縮小する日本マーケットだけでは残りのビジネスマン人生30年間食い続けることができないという共通認識を持っている。だからこそどんどんアジア各国へ進出していくんだけど、この世代ですでにいち早く起業したり、ビジネスやったりしている人には本当に恐れ入ります。良い意味で焦りをいただきました。

 

 

アジアへの進出というのは、大きく3パターンに分類できると思う。(重複もあり)

1. 工場や開発拠点としての機能

製品・プロダクトの製造コストを抑えるための拠点を持つ形。中国が世界の工場と呼ばれている通り。プロダクトだけでなく、WEBやアプリの開発もあり。

2. 現地に進出しているorしたい日系企業・日本人向けビジネス

会社設立、家、オフィス、工場、人材、広告などなど、進出時にはなにかと現地の情報が必要になる。それを提供するビジネス。

3. ローカルマーケットへの参入

中国で中国人に売る、中国企業をクライアントにする、という形。拡大し続けるマーケットにいち早く入れると、すごいことになりそう。夢がある。

 

比較的やりやすいのは1と2で、長期的なポテンシャルとして3を獲りに行きたいというのが誰もが考えることだと思う。実際、1と2で進出している企業が圧倒的に多く、うまく行っているのもこのカテゴリーがほとんど。

一方、3に関しては、進出している企業はたくさんあるが、成功事例がとっても少ない。だからこそチャンスだし、長期的に見れば今は投資のステージという考えでやってるんじゃないでしょうか。

今回の旅で多くの情報や刺激を得て、自分が何をすべきかいろいろ考えているところ。

去年の年末にユタ州に住む友人を訪ねて行って、「学生が住宅の設計から施工まで行う教育プログラム」に感動し、日本でホントにやることになっちゃったし。

やろう。

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アートインキュベーション事業「FUCA」を立ち上げた

3月 30th, 2012 | by | イベント, インキュベーション, デザイン, 不動産, 思考

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1ヶ月ほど前に、アーティストのインキュベーション施設をメインコンテンツとしたアートコミュニティの運営母体として、FUCA LLPを設立した。

 

きっかけ

それは、今年1月下旬にポートランドに行って、「アートやクリエイティブが街に根付いた文化」と「魅力的な生活環境」が融合した素晴らしい街の姿に出会い、そこに福岡の未来を見たような気がしたことがきっかけだった。

そもそもシリコンバレーに住んでいたのはインキュベーション事業を模索することで、本来はスタートアップ支援のインキュベーション施設を福岡に作ることを想定していたのだが、そこに、ポートランドの街で見たモノやヒトに強烈にインスパイアされ、アート×インキュベーションという形を思いついたのだ。

ちょうどそのとき、自社で運営する福岡R不動産でめちゃくちゃいい倉庫物件を発見し、ポートランドからの帰路、空港へ向かうライトレールの中から、スカイプで福岡のメンバーに連絡した。「やろう!」と。

 

立ち上げのスピード感

いつもプロジェクトを一緒にやっている2社にも協力をお願いし、3社でLLPの登記をしたのがその一ヶ月後。大々的にコンセプトを話し合う公開立ち上げ会議(テレビ局の取材付き)をその2週間後に行い、その間にカフェや音楽スタジオ、オフィスを運営してくれる別の2社と福岡R不動産を通じて出会い、そのまた2週間後には、インキュベーションアトリエに入居する4名のアーティストが公募・選考の過程を経て決定した。

そして、今から2週間後の4/15(日)には正式な施設全体のオープニングイベントを行う予定だ。

思いついてから2ヶ月で、100名以上の人を巻き込んだ一大プロジェクトに発展したのは自分でも本当に驚きかつ気持ちよいスピード感。すでに自分の手を離れてFUCAというプロジェクトは生き物のように動き出している。

 

立ち上げを通して感じたこと

ひとつは、24歳で勤めていた会社を辞めたった一人で起業したときと、現在29歳の自分が事業を起こすことの違い。この4年間で築いてきたリソース(人材、ネットワーク、コミュニティ)を総動員してやれたからこそのスピード感だった。経験に基づく勘も圧倒的に違っている。ただし、人間年を重ねると躊躇しやすくなるので、いつまでも無謀な行動をできるヒトでありたい。

そして、強引さが大事だということ。面白い企画が生まれても、話し合ったり企画書を作っているうちに熱が冷めてしまい、結局何も始まらない。ということは過去に何度も経験していた。だから、FUCAでは企画書なしで、勘を頼りに、かなり強引に進めた。自分でリスクをとってやるからこそ、誰にも遠慮せずに一気にやれる。立ち上げるってそーゆうこと。

最後に、自社事業と受託業務のバランス。IT業界では、「自社サービスと受託開発をどういうバランスでやるか論」が尽きない。結局は人それぞれ考え方だけど、自分は両方同じくらいのバランスが今のところ心地いい。ちなみにDMXでは、福岡R不動産FUCAが自社事業、不動産プロデュース・コンサル(筑後トライアルステイARK CUBEなど)が受託業務。自分でなんでも決められる自社事業と、他社の企画や問題解決を手伝う=自社にないことができる受託業務、気持ち的にも収益的にも両方あった方がいいかな、と思っている。

 

年初のブログにも書いていたように、今年はもう1つ自社事業を始める予定。強引に、スピード感を持って、アメリカでの経験を活かしていきたい。

 

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シリコンバレーで3ヶ月間インターンして学んだこと

2月 25th, 2012 | by | it, シリコンバレー, スタートアップ, 思考

2月
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日本(福岡)に帰国して10日ほどになるが、そういえばシリコンバレーでの話をまとめていなかったので、振り返ってみたい。

学んだこと、得たことを自分なり(主観的に)にメモ。

 

1. シリコンバレーの人と繋がった

ITの中心と言えど、なんだかんだ一番重要なのは「人」だった。人気のインキュベーター500startupsのプログラムに参加するには運営者3人の誰かと知り合い(もしくは自分にコミットしてくれている共通の知人がいる)でなければいけないし、人に会うにはやはり紹介がモノを言うし、大事な情報はネットに書かれていない(もしくは書いてある本質がわからない)。当然だが、本やWEBに書けないことはたくさんあり、それこそ一番重要な情報であり、それは直に会うことにより得られる情報だ。

自分の場合はPlag and Play入居者の皆さんにとにかくお世話になり、多くの方とつながることができた。3ヶ月間住むにあたり、いきなり会社を作っちゃうという案もあったが、あえてインターンという選択をしたことの最大のメリットはここだったと思う。

 

2. エコシステムを理解した

一番知りたかったことが、なぜAppleもGoogleもFacebookもシリコンバレーで成長したのか?であり、シリコンバレーでなければならない理由はなにか?なぜ日本からはグローバルマーケットを獲るようなベンチャーが生まれないのか?だ。

その答えを自分なりに納得できたのはシリコンバレーのエコシステムを、本質的に理解できたから。答え自体はネット上の情報で、日本語でさえ見ることができるが、「WEBで読む」のと、「実際に現地で様々な立場の人の話を聞き、目で見て理解する」ことの差は極めて大きかった。

 

3. 来て、見てしまえば、同じ人間

日本からシリコンバレーを見ると、まるで違う次元の話に見えてしまう。スタートアップの数にしろ、買収の数や額にしろ、IPOの規模にしろ、確かに桁が2つくらい違う印象だ。

では、シリコンバレーにいる人たちが100倍優秀で能力が高いのか?と言うと、そうではない。人間の能力の差なんてせいぜい2倍か3倍のはず。それ以上の差は、地の利以外なにものでもないと思う。ここにいるから情報があり機会がある。ここにいるから成長スピードが速い(速めてくれる)。来て、見てしまえば、その差を確認できるから恐れる必要はなくなる。それに加えて、次の「努力」。

 

4. ラッキーではなく努力である

メディアを通して伝えられるシリコンバレーの成功ストーリーと、現地で実際に見聞きしたことには大きな差がある。それがラッキーではなく、努力である、ということ。

なにかとメディアでは綺麗なストーリーで書かれることが多く、サービス出したらいきなりユーザーが爆発的について、投資家が向こうからやってきて、気がついたらIPOや売却、と省略していかにもラッキーかのように伝えられるが、実際にはかなり強引に、グレーなこともやりながら、無理矢理成功まで持っていっているというのが正解。世界中から超優秀で超モチベーションの高い人が集まっていることは確かだが、その裏にある努力が書かれることは少ない。

 

5. グローバルな視点

これはしっかり身に付いたかというと、まだまだかもしれない。ただ、島国ニッポンに住み続けていてはグローバル(もちろん各地でも違う)な視点でビジネスを考えることはできない、というか意味不明だったのが、少しは見えるようになってきた。

そして、ローカルなビジネスを行うことは良いのだが、「グルーバルな視野で考え、結果ローカルで行動するのであればアリ」という条件付きであることがわかった。

 

以上、ざっと書いてみた。他にも細かいことはいっぱいあるけど、個人的に大きかったのはこの5つ。

特に最後の2週間は、東京から起業予定の友人東京R不動産の吉里さんが訪ねてきてくれたので、一緒にいろいろな人に会ったり(20人くらい)、いろいろな場所にいったり(20ヶ所くらい)と、とても濃密な時間を過ごすことができた。やっぱり出張ではなく、住むというアクションを通して、得られる経験は圧倒的に違った。

次は、シリコンバレーでインターンする方法などを書いてみようと思ってます。

 

オマケ 〜シリコンバレーでの思い出〜

 

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クリエイティブな街 ポートランドのエコシステム

1月 30th, 2012 | by | インキュベーション, デザイン, 不動産, 思考, 旅行

1月
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アメリカ西海岸の北部にある、ポートランド。
この街は、近年東海岸に疲れたクリエイティブクラスが集まってきて、その魅力がとても注目されており、東京R不動産の林さんがむちゃくちゃアツい!と叫んでいた(言い過ぎ?)ので、僕も西海岸に住んでいるこの機会を利用して行ってきた。

今回の滞在中に、ポートランドに20年以上住み、ビジネスをしている日本人お二人(Kurosakiさん、Katsuさん)に、感謝してもしきれないほどお世話になり、街の隅々まで普通の観光では絶対に知ることのできない魅力を教えていただいた。そして、あまりに感動し、インスパイアされてしまい、クリエイティブ方面の企画を一つ始めることにしてしまった。それでも足りないので、この街の魅力をブログに残すことにした。

ポートランドを表現する言葉たち

  • 全米一環境に優しい街
  • クリエーターが多く、アートへの感心が高い街
  • コンパクトで歩ける範囲の町並み、自然もとても身近
  • スポーツが盛んで、Nikeやアディダスの本社がある
  • 身の丈に合ったサステナブルなライフスタイル

と、いろんな表現をされるポートランドだが、まずは、この街にあるエッジの効いたモノ・コトを紹介してみる。

 

パールディストリクト

ダウンタウンから通りを一本挟んだ倉庫や工場が立ち並ぶエリアPearl District。この15年程で、多くの倉庫や工場がギャラリーやカフェ、アパレルショップなどにコンバージョンして再生され、一方で取り壊して建築家がデザインした新築の複合ビルも建ち、まるでデザインコードがあるかのように、新旧素敵な建物が入り交じっている。足下(1階)は店舗で、上層階(2階以上)はクリエーターのオフィスや住居になっているのが多い。ニューヨークのSOHO、サンフランシスコのSOMAエリアなどと同じく、倉庫街にクリエイターが集まってきてエリアが活性化された良い例である。

以下、パールディストリクトにあるもの

Powell’s Books

独立系世界最大(6300平米)の本屋。でかすぎてもちろん全部は回れてないけど、新品と中古が入り交じっている日本では考えられないスタイルで、Architecture(建築)のコーナーだけで天井まで伸びる本棚が6列もあるほど本が多い。マニアにはたまらないって表現がまさにぴったり。建築も含め、デザインやアート、写真などのクリエイティブなコーナーは特に充実していた。

店内にはwfiのあるカフェスペースもあり、一日中ここで過ごせそう。

Wieden+Kennedy

非上場会社では世界最大の広告代理店ワイデン+ケネディの本社。Nikeの広告展開が特に有名で大きい。約600人が働く本社は元製氷工場だった建物を大胆に改装して作られたもの。中央にでかい吹き抜けがあって、その回りに床がある、(一応)建築に携わるものとしてシビれるオフィス。

会社組織は3トップ体制で、クリエイティブのボス、アートのボス、マネジメントのボスがいるらしい。「経営」よりも「クリエイティブ」が重要という意思を表すように、クリエイティブ2人:マネジメント1人という力関係。

オフィスがカッコいいのはもちろん、これほどの企業が元倉庫街という「常識的には大企業の本社が立地すべきでないような場所」に意思を持って存在していることに感動した。

もう1つ、驚いたこと。W+Kの建物前で人を待っていると、Googleのパーカーを来た若者がいたので、話しかけてみた。するとなんと、彼は元Googleで、現在はW+Kが運営するTechスタートアップ向けのインキュベーションプログラムに参加しているとのこと。彼の会社はアスリート向けのWEBサービスを提供しているため、ポートランドでやっているそうだ。シリコンバレーのY combinatorが提供するような3ヶ月のプログラムで、前回の応募者は340社、そのうち参加できるのは8社という倍率。(なにせW+Kのオフィスで働けるんだから、そりゃいいよね)来月また募集があるみたいなので、興味ある方は是非。

PNCA(Pacific Northwest College of Art)

元工場を改装した美大PNCA。学生は400人くらいで、大学院もあるというのが驚き。大学すら元工場を利用しているのがすごい。これほんと日本では絶対に考えられない。建物内は、真ん中に巨大なコモンスペースを作っており、イベントなどに利用しているらしいが、手狭になったので、最近向かいの建物も借り増ししたらしい(笑)日本ならこの贅沢なコモンスペースを真っ先に潰すはず。この辺りの発想がポートランドならではというか、ほんとにイケてる。

ふと思ったのだが、ここがシリコンバレーでいうスタンフォード大学の役割なのかもしれない。スタンフォードからGoogleに就職するように、ここからワイデン+ケネディのようなクリエイティブエージェンシーに就職する人や、独立する人も多いらしく、まさしくポートランドのエコシステムをを垣間みれる。

Ace Hotel

厳密にはパールディトリクトから2ブロック離れるが、最高に良い立地で、古い建物を全面改装されたヒップなホテルAce Hotel。カフェとつながるエントランスはいつもくつろぐ人がいっぱい。リノベーションの内容も、ローコストなのに各部屋の壁にアーティストに絵を描いてもらっているから、全室オリジナリティがあって、とてもうまい。
と、ここまでがパール・ディストリクトにあるモノたち。他にもとっても素敵なパタゴニアが入ってるコンバージョンビルや、ビール工場の再生事例など、まだまだたくさんの魅力的なスポットがあるのだが、これが全部徒歩圏内にあるというのが、ポートランドの魅力。

 

続いてダウンタウンの方に行ってみる。

Multnomah Athletic Club(MAC Club)

120年の歴史を持つ世界最大級のアスレチッククラブMAC。メンバーは5〜10年に1度の抽選でしか募らないし、入会金は3桁万円という中上流階級向けのクローズドコミュニティ施設。

どれくらいでかいかというと、サッカースタジアム(サッカー場じゃなくてサッカースタジアム!)が敷地内にあるし、テニスコート9面、スカッシュ9面、プール3箇所(しかも1箇所は50m)、フィットネススタジオ3つ、その他バスケ、ハンドボール・・書ききれないほど。

さらに、5ツ星ホテルと同程度のロビーや、メンバー向けのホール、会議室、Barなど、ここはなんの施設だっけ?と頭がくらくらするほど充実している。こんな施設があるのも、ポートランドが昔からスポーツの盛んな街であったことを表している。

 

さらに、西へ車で20分ほど行くと、ビーバートンというエリアに着く。そこにあるのが・・・

NIKE’s Headquarters

約5000人が働いているNIKE本社の広大な敷地。敷地をランニングすると、一周するのに50分もかかるんだとか。NIKEは1968年にポートランド生まれのフィル・ナイト氏が自分の車ででアシックス(日本メーカー!)の靴を販売する事業から始め、一代で世界最大のスポーツウェアメーカーになった奇跡的なサクセスストーリー。現在はコンバース、コール・ハーン、ハーレーなど競合を買収しまくり、$20B(2兆円)という巨大企業になっている。

たしかアップルの本社も3000人くらいだったが、同じくすごいと思うのが、ここに工場がないこと。今時当たり前かもしれないが、工場は中国やベトナムがメインなので、ここにはデザイナー、マーケティング、R&Dなど製造以外の人でこの数。敷地内にはプール、バスケコート、サッカーコート、ジム、クライミングなど各スポーツ施設が整っており、従業員の家族や地域に一部開放している。フィル氏が日本好きなので、巨大な日本庭園&池がある。(スティーブ・ジョブズも日本好きだし、なんか 日本好きなCEO多い印象。)

ナイキの存在はポートランドにとってかなり大きい。ワイデンも元々はナイキのために作られたようなものだし、広告以外にも多くの業務をアウトソースもしているはずなので、クリエーター以外にも多くの雇用を生んでいる。従業員だけで5000人なのだから。

 

続いてダウンタウンから川を渡って東へ、South East(SE)エリア。

Jeff Stuhr(Holst Architecture)

ポートランドが誇る有名な建築家Jeffさんとランチさせてもらい、さらに彼の手がけたプロジェクトをいくつか見せてもらった。

Holst Architectureという建築設計事務所の代表Jeffさん曰く、ポートランドはやはりコンパクトなのが魅力だと。中心部は楽しいし、30分〜1時間で、ホンモノの自然がある。以前はパールディストリクトに住んでいたけど、最近は開発され過ぎてるので、このSEエリアにオフィスも移ってきたとのこと。

SEで見たプロジェクトは新築が多かった。中でもデベロッパーが1階に店舗、上がコンドミニアムorオフィスという開発を行うケースが多いようだ。1階店舗部分は、3年はデベが保有する。というのは、3年保有すると売却時の税金が安くなるかららしい。ちなみにJeffさんはPNCAの内装デザインも手がけたそうで、現在スタッフは17人という大所帯の設計事務所を率いるボス。倉庫を改装した自社オフィスも含め、非常に親切に案内していただき感謝!

 

ポートランドのエコシステム

見てきたものを盛り沢山書きすぎてしまったが、あくまで大きな場所や企業だけを書いただけ。実際にはポートランドの魅力は、小さなギャラリーやカフェ、アート関連のショップが街中にあることや、外食文化が根付いているし、たぶん気候・立地的にも恵まれているので、レストランやダイニングのメシがびっくりするくらいうまいことだったりする。だから、観光よりも「住む」方がその魅力を味わえるはず。「見せるための街」ではなく「満足して暮らすための街」。

で、こうしてポートランドにあるモノ・コトやその動きを見ると、そこには独自のエコシステムができあがっていることがわかる。シリコンバレーにはスタートアップやテクノロジー企業がどんどん出てきて、世界を制覇していくエコシステムがあるように、ポートランドには、クリエイターやスポーツ好きな人、会社が集まり、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)が高いライフスタイルをサステナブルに保っていくエコシステムがあるのだ。

スポーツが盛んになる自然環境→120年の歴史を持つ世界最大のアスレチッククラブMAC→がある街に生まれたNIKE→のための広告制作会社ワイデン+ケネディ→に人材を輩出する美大PNCA→が作り出すアートな街でゆったりと、しかし仕事がある生活ができるからQOLを求めるクリエイターが集まる→メシがめちゃくちゃうまい、という好循環。(ほんとは順序はもうちょい複雑)

福岡はポートランドを目指したら面白いかも?

僕が活動の拠点としている福岡は、中心部は歩けるコンパクトな街で、海・山・川といった自然も30分圏内、さらにメシがめちゃくちゃうまいというQOLの高い街。クリエイターも多いし、スポーツはまあそこそこ。ポートランドのようにHappenするためのピースが揃っているのだ。福岡に独自のエコシステムを作れたら面白いな、と今回のポートランド滞在を通して強く感じちゃったので、いろいろやってみたいと思います。ちなみにポートランドの魅力は「グリーンネイバーフッド」という本にばっちり書いてあるので、よかったらどうぞ。僕が書いたのはまだまだその一部。

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シリコンバレーのエコシステムをこう理解してみた

1月 13th, 2012 | by | it, インキュベーション, シリコンバレー, スタートアップ

1月
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シリコンバレーで過ごす冬、もう快適すぎて最高。

来て間もない11月は、朝と夜がびっくりするくらい寒かったので、Tシャツに短パンで歩いているアメリカ人を理解できなかったけど、この半月くらいは寒い日が全然なく、昼間は本当に快適。毎日無条件に快晴だし、自分もどんどん薄着になっていってる気がする。(それでもTシャツ短パンはないでしょ、アメリカ人!)

そんなこんなで気がついたら、3ヶ月のシリコンバレー滞在も半分が過ぎてしまった。こっちではシリコンバレーのエコシステムやらインキュベーションやらを研究したり、新しいサービスの企画をしたりして過ごしているが、その辺りを書くのがすっかり遅くなってしまった。

ちょうど一昨日の夜、運営メンバーをさせてもらっている福岡IT飲み会で、エコシステムの話などについてプレゼンテーションしたので(アメリカからスカイプで参加した。深夜3時に!!)、その内容を掻い摘んでブログに残すことにした。

Q&A方式で行ったので、そのまんま記載しますが、あくまで個人的な見解ということで。加えて、自分の理解のためにあえてパターン化してるので、これ以外にも多様なケースや回答がもちろんある。

Q. シリコンバレーのエコシステムとは何か?

よく言われるのは、起業家を輩出する優秀な大学、大企業があり、起業家をサポートするエンジェルや投資家、インキュベーターがおり、成長したスタートアップは大企業に買収されたりIPOする。そしてその成功した起業家がまた別の事業をチャレンジしたり、今度はエンジェルになって次の起業家を支援する、という好循環がエコシステムだ、と。

図にするとこんな感じ。(若干美的センスに欠けるが、Googleドキュメントでどこまで作れるか試しに遊んでみたかったので許して。)

言葉で聞くとその理屈自体は理解できるのだが、どこかで「いやいや、そんなの他の都市だってできるわけで、シリコンバレーが特別であることの説明にならない」という疑問があり、どうも納得ができなかった。しかし、シリコンバレーに住み、いくつものスタートアップや投資家、インキュベターの話を聞くにつれ、ばっちりその違いを認識できた。それは・・・

無理矢理にでもスタートアップを押し上げて成功させる力

起業家が優秀であるのはもちろんだが、実はその回りの大人たちの力がハンパじゃない。正直、これこそがシリコンバレーがシリコンバレーである一番の要素なんじゃないかと思う。芽のある企業、アイデアがあれば、自分もスタートアップで成功したことがある経験&知見豊富なエンジェルや、その友人のプロの経営者(ある所まで行くと、プロの経営者をCEOとして迎え入れるのが一般的。起業家はエンジニアであることが多いので)やファイナンスの専門家や弁護士やその他大勢のプロフェッショナルな大人たちが、無理矢理にでもその企業を成長させるのだ。

重要なのは、「偶然ヒットしたサービスがいつの間にか大きくなって、どんどん社員が増えて、上場しちゃった」のではなく、「どうやら人気の出そうなサービスに、大人たちが寄ってたかって無理矢理資金と人を入れまくり、明らかにやり過ぎなスピードで成長させ、1~2年でエグジット、または5年で巨大IPOに持って行く」ということ。前者と後者の違いはもちろんスピード。普通7年かかるのを1~2年でやる。意識的に、かつ、やり過ぎなレベルで、世界を獲りに行く。そして本当に世界を獲ってしまう。これが、GoogleもfacebookもAppleもその他大抵のBig Companyが他の都市ではなく、シリコンバレーから出てくる、いや、シリコンバレーが作り出している理由だと思う。

Q. インキュベーターってなに?

インキュベーターの役割は、彼らが支援するスタートアップのビジネスを加速(アクセラレーション)させることである。2005年に活動を開始したマウンテンビューのY Combinatorが草分け的存在であり、現在も圧倒的No.1インキュベーターとして認知されている。Y Combinatorのビジネスは、彼らの用意する年2回の3ヶ月間のプログラムにスタートアップを毎回数十社集め、平均150万円ずつを投資し、毎週IT業界の有名人らを呼んでディナーを行ったり、プロトタイプを発表し合ったりして各社のサービスを改良し、最後のDemo Dayというイベントで多くの投資家を前にプレゼンし、さらなる投資を受け、それらの企業が成長して売却やIPOすることで利益を得るモデルである。最近では、インキュベーターの数も増えており、投資やプログラムに加え、オフィススペースまで提供するところが主流になっている。

Q. インキュベーションオフィスとコワーキングスペースの違いは?

簡単に言うと、投資をするのがインキュベーションオフィス、投資をしない単純なオフィスの提供がコワーキングスペースである。この違いを認識するときに、「投資」「プログラム」「スペース」という3つの要素が混じり合っているため、わかりにくくなっている。そこで、図にしてみた。

まず、コワーキングスペースはあくまでスペースだけを提供する。イベントがあったりコミュニティがあったり、とコワーキングスペースの提供するメリットはスペース以外にもあるのだが、インキュベーションとの違いを把握する上で、上記3要素で考えると、スペースだけの提供となる。

対して、インキュベーターが提供するのは、「投資」+「プログラム」であることが多い。これに、「スペース」まで提供するのが現在は主流で、「スペース」を提供しないY Combinatorは独自路線である。(Y Comがオフィスを提供しない理由はこちら。)

インキュベーターは彼らが投資するスタートアップが他の投資家に評価され、シードラウンド→シリーズA・・・と順調に投資ラウンドを進めて行き、ゆくゆくIPOや大企業による買収で利益を上げる。そのためスタートアップに資金だけでなく、メンターやアドバイザーを紹介したり、投資家の前でDemoを行うイベントを開いたり、細かいところでは、デザインやコーディングのクラスを行ったりもする。

Q. 注目されているインキュベーターは?

2010年までにインキュベーターの元で設立されたスタートアップの数map。Y Combinatorがぶっちぎりだが、全米に4拠点を構えるtechstarsや、最近注目されているマウンテンビューの500startupsなども数が増えてきている。ちなみに500startupsのプログラムには日本人チームが2社(今度3社になるのかな?)すでに入っており、活躍が期待されている。

500startupsのオフィス。唯一の高層建築なので、緑の雲の上にいるみたい。

こういったインキュベーションプログラムやオフィスに、スタートアップとして参加することのメリットはいくつかある。

  •  超優秀で意識も高い起業家たちと刺激し合いながら成長できる環境
  • そのインキュベーターから投資を受けたことによる注目度
  • そこに入っているからこそコンタクトできる著名な数々のメンター
  • 自分たちより前のプログラムに参加した会社の動向

Q. 注目のコワーキングスペースは?

2011年はサンフランシスコにコワーキングスペースが急激にオープンした年であり、各スペースとも様々な工夫を行っている。

個人的に特に注目しているのは(日本でもすでに有名かもしれないが)Rocket Spaceだ。運営者の方にインタビューさせてもらったが、「シードファンディングを受けている企業しか受け入れない」という強気なコンセプトを持っている。例外はあるのだが、このコンセプトにより、シード市場で評価されたお墨付きのスタートアップが集まり、優秀な人がさらに優秀な人を呼ぶという循環を作り出そうとしている。「自分たちはスペースの提供者ではなく、アクセラレーターなのだ」と言っていた。

オープンで間仕切りがほとんどないRocket Space。

やはりキーワードは「成長」であり、これこそがシリコンバレー(SF含む)の共通のコンセプトなのだろう。

 

その他あった質問と、ぼくの答え。(覚えてる限り)

 Q. 最近はシリコンバレーじゃなくてもいいと言われてない?

おっしゃる通り。先日有名な投資家ロン・コンウェイ氏もイベントでそう話してた。上記のスタートアップMapでも全米にインキュベーターが出てきているように、今後はより一層各都市から多様なスタートアップが出てくると思う。

Q. シリコンバレーではエンジニアの採用はどうやってるの?

どこもまずインターンをして、採用という流れが多い模様。大企業は大学でハンティングしたりしてるけど、スタートアップはやはり口コミというか知り合いベースが多い。

Q. シリコンバレーに行って一番変わった考え方は?

インキュベーション事業そのものに興味があったけど、成長する会社やチャレンジしているスタートアップの人たちを目の当たりにし、自分がプレーヤーとしてスタートアップをやった方が断然面白いし、そうしたいと思うようになった。

Q. 日本は起業マインドが弱かったり、文化が違うと思うが、その辺はどう?

基本、やりたい人がやればいい。成功と失敗事例の蓄積が増えてくれば、マインドも変わってくるのでは?

 

シリコンバレーがすべてじゃないし、スタートアップがすべてじゃないけど、このエコシステムを理解した上で、自分がやりたいことをやるのが良さそうだ。

 

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